FA化、ライン化が急ピッチ」

FA化をめざして設備増強……滋賀工場
 滋賀工場では主にFA化、合理化をねらいにして設備増強を進めた。
 1989年(平成元)10月には、SC事業部において、「ニックセブン」の新設機NC-1号機が稼動している。FA化による無人化をめざしての新設機の導入で、スピードも従来の2倍となり、広幅化によって大幅な生産性の向上をもたらした。
 1990年(平成2)1月には、広幅スリッター「R-1号機」を導入した。ニックセブンの広幅化に対応する仕上げ部門の強化である。同設備の設置によって、スリットされた製品の取り出し、紙管のスリッター部への装着が自動化されるなど、合理化が進んだ。
 1990年(平成2)からは壁紙の設備も増強されている。3月には新鋭機VC-7機と造粒設備を設置した。同機は6連式のロータリースクリーン印刷機と発泡機で構成され、多色柄の製造でもノンストップで即時に段取り替えができるという高性能・高速生産設備である。
 1991年(平成3)11月には、壁紙仕上げ工程の自動包装ラインを導入した。この設備は自動包装機を中心にして、その前後の仕上げと搬送をFA化、多種類の壁紙包装を同時に処理する機能をもっている。主要部はすべて自社設計になるもので、重量物を取り扱う工程の省人化・省力化を可能にする設備である。
 接着芯地の設備増強も1989年(平成元)から継続的に実行した。水溶性のペーストをドット状にコーティングするディスパージョン加工の技術を確立、翌1990年(平成2)にはコーティング・染色加工機を導入した。3月には精錬装置「TN-1号機」、染色機「TM-2号機」、高速テンター「TT-2」を導入、4月には新しいコーティング・マシン「ストーク」が稼動を開始した。一連の最新鋭設備の稼動によって、ステーフレックスの生産体制を大幅に強化することができた。さらに1992年(平成4)には「SC―7号機」を導入した。新合繊、新世代ウールに対応する接着芯地の生産設備である。
 滋賀工場ではDPS活動の一環として検査・包装工程の一元化の検討を進めていたが、1990年(平成2)11月から、桂工業の仕上げ部門を吸収することになった。生産現場の効率化を図るためには組織の一元化が急務であるという結論に達したからである。かくして桂工業の検査・包装・スリッター加工部門、および管理部門がダイニックへ編入された。


大型設備投資で新事業へ……深谷工場 

 東京工場ではFFC、コンピュータリボンの両部門で設備の増強を行った。1989年(平成元)12月、FFC事業部に新鋭キュア機を増設した。印刷用フィルムALINDAは熱硬化(キュア)処理が必要になる。AC-1塗工機で塗装とキュアを同時に行っていたが、生産量の増大にともないキュア専用機を導入することになったのである。
 1991年(平成3)7月には熱転写リボンの新設機が稼動を開始した。ダイニックでは1990年(平成2)ごろから熱転写フィルムリボンの強化に乗りだしていたが、1991年(平成3)3月、コニカ株式会社から同社の熱転写フィルム部門の商圏を引き受けることになり、あわせて熱転写製造設備を導入したが、その新設機が本格的に動き始めたのである。
 同年7月、「簡易製本用表紙製造機」も稼動を開始した。同機は簡易製本用「フリーカバー」の受注増加にともなって新設したもので、幅3ミリから51ミリまで、自由に幅を選定できる機能をもっている。
 深谷工場では1992年(平成4)4月17日から、教科書用クロスの生産工場の建設を開始、同年9月18日に完成した。生産システムのライン化をねらいにした増設で、生産の合理化、納期の短縮をめざしての決断であった。新しい設備は、塗装機、加湿器、シングル段階替えのエンボス機、高性能・高速カッターなどで構成されている。
 深谷工場で最も大規模の設備投資は「N-10号機」の導入であった。同機は、オランダ・ストーク社のぺーストターポリン製造設備で、フィラメント基布、スパン基布の両方に使用でき、塗膜塗布、エンボス、表面処理が同時にできる画期的な設備である。単独設備としては最大規模で、それだけ期待をになっていた。深谷工場で生産してきたターポリンはトッピング(貼り合わせ)方式だったが、N-10による方式は、ペーストレジンを溶かしてロータリースクリーンで含浸させるというものであった。ターポリンの製造方式としては最新式のシステムが、ペーストターポリンによって機能性の高いテント、ターポリン、コンテナ、雨衣、アコーディオンカーテンなどの新しい市場開拓がみこまれていた。
 ダイニックでは1990年(平成2)に同設備の導入を決定、12月から、営業、製造、技術の担当者で「N-10プロジェクト」を結成し、ほぼ1年半にわたって商品計画、市場戦略の検討をはじめ、「より軽く、より強く、より美しいターポリンを、より早く、より安く」というコンセプトで事業展開を進めることになった。

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