高度成長をつづける日本経済がいかにして低成長時代へ軟着陸するか。1970年代は戦後経済が迎えた第2の転換期だったが、本章では公害問題とオイルショックに激しくもまれた10年間の経営活動を取りあげている。
「経営の多角化」が本格化したのがこの期の特徴である。新事業の構築を図り、国内だけでなく海外にも関連会社を設立し、社名もダイニックと改めて、グループ化による複合企業化構想を実行に移した。京都工場の滋賀移転も重要な経営上の節目となるプロジェクトであった。公害問題が直接のきっかけだったが、メーカーとしてのダイニックの将来に新しいエネルギーをもたらした。

複     合 (1969〜1979)

 タイトル 掲載内容
▽日本経済「第2の転換期」  産業公害と反企業ムード/ニクソン・ショック/第1次石油危機の勃発/円高に揺れる
▽タテ・ヨコの事業拡大 過渡期の試練/2年を要して黒字転換/東京・京都の2本社制へ/6事業本部制へ/ラインとスタッフの明確化/タテワリの事業本部制へ
▽グループ経営で多角化 複合企業をめざす/素材産業からの脱皮/第3次産業へ進出/蓄積技術を活かす/海外に生産拠点/充実期を迎える
▽社名変更―日本クロスからダイニックへ 新しい企業イメージ/ダイニックの誕生
▽4工場の拡充と再編 深刻な課題をかかえる3工場/京都・深谷の設備移転問題/京都東工場の統合、染工部門の撤収/公害対策に巨額の投資/東京・深谷両工場の充実化しい企業イメージ/ダイニックの誕生
▽市場開発と営業強化 市場単位の営業組織/インテリア部門に進出/車輛資材に進出/ビジネス用途部門の強化/エリアマーケティングの強化
▽個性豊かな新製品 新感覚の紙クロス/磁気通帳用クロスが完成/多様化するターポリン/壁紙の新しい展開/パンチカーペットのトップメーカー/新しいタイプの合成皮革/衣料の生産システムを変えたステーフレックス/染工の技術が生んだニックセブン
▽京都工場の滋賀移転 社運をかけた一大プロジェクト/工場規制と公害問題/滋賀県多賀町に決定/新工場の建設計画/建設と移転を同時に進行/最新鋭の開発工場
 

All Right Reserved
(c)Copyright 2003 DYNIC CORP.