本章は阪神大震災のあった1995年(平成7)から、創立80周年を迎えた1999年(平成11)までの5年間の経営を対象にしている。
 ダイニックの80年のなかでも、この期はまれにみる苦難期であったが、社長の坂部三司はあえて「変革の時」と位置づけて、21世紀をみすえた経営改革を決断し、諸施策を次つぎに実行に移した。とくに経営のうえで重要な節目をなすのは東京工場の深谷への集約移転、商品技術研究所の設置である。埼玉工場の発足によってメーカーの基幹をなす工場の再構築を果たし、商品技術研究所の設置によって、次代の躍進を担う個性ある新技術、新商品がいくつも誕生している。
 創立80周年の年を「グループ経営元年」と位置づけて、グループ規模で経営し合理化の諸施策を実行、グループの総合力を活かした効率経営で、21世紀の扉をひらく道筋を明確にした。

変     生 (1994〜1999)

 タイトル 掲載内容
▽世紀末の荒波に漂流  戦後50年と阪神大震災/スパイラル型のデフレ不況/世界的な規模で再編が進む/インターネット元年
▽変革の苦しみを越えて 改革元年のスタート/GET 21 CENTURY/グループ規模での経営合理化/「変革」時代の経営理念
▽メリハリのある体制づくり 営業と海外の強化/市場別事業部制へ/新しい賃金・人事システムへ
▽東京工場の集約移転と埼玉工場の誕生  工場集約で新鋭化を図る/東西2工場制へ/新工場の建設と移転計画/新鋭工場の完成/埼玉工場の発足
▽商流統合、業務提携で相乗効果 ダイニック・ジュノの発足/大平製紙と業務提携
▽商品技術研究所の開設 施設を持たない研究所/「環境」と「メディア」をテーマにして/新しい息吹、磁気と光触媒/新しい機能素材、活性炭繊維/室内空気環境浄化機―緑のチカラ
▽発想の転換で新製品を開発 生分解プラスチックを用いた土木用シート/パソコン対応の名刺・ハガキの印刷システム/新時代の装幀材……「タス」「ファーレン」/多様化に向かう……インクリボン/快適空間の実現のために……オレフィン壁紙ほか/車輛内装材とフィルターの新しい製品群/新感覚のファンシー商品群
▽生産技術のレベルアップをめざす 滋賀・埼玉の両工場に技術センターを設置/壁紙などの設備増強/オレフィンフィルムの製造を開始
▽業界ナンバーワン工場をめざす 滋賀・埼玉両工場とTPM活動/地球にやさしい工場へ―ISO認証取得/業界で初めてISO14001の認証を取得/同時期に3つの認証を取得 ISOとTPMは車の両輪
▽ダイニックグループの新世紀 グループ経営元年/昆山司達福紡織のスタート/サプライメーカーとしてのびる/生産拡大へ/事業の拡大に向かう/新分野に伸びる/国内13社、海外2社を整理
▽開館10周年を迎える 名実ともファクトリーパークに/惑星観測報告で世界2位
 

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